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シャープのスマホ事業から撤退しないという戦略

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次々と国内メーカーがスマホ事業からの撤退を発表する中、
「シャープ」もスマホから撤退するのではと心配する人も少なくありません。

ではシャープがスマホから撤退することはあるのかについて詳しく見ていきましょう。

     
   

シャープがスマホから撤退する可能性は低い

2023年現在、シャープがスマホ事業から撤退する可能性は低いと考えられます。

シャープがスマホから撤退しない理由の1つとして、
他の国内メーカーに比べるとスマホの売り上げが好調なことが挙げられます。

MM総研の調査によると、
2022年のスマホのメーカー別シェアでシャープはAppleに次ぐ2位となっています。

フィーチャーフォンいわゆるガラケーを含めた携帯電話のメーカー別シェアでも
シャープはAppleに次ぐ2位でした。
(参照:https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=571)

国内メーカーのライバルであるソニー(Xperia)や世界的にはトップクラスのシェアと
なっているサムスン電子(Galaxy)に国内シェアでは上回っています。

シャープのスマホ事業単体では決して好調とは言えませんが、
シャープのスマホに需要がある以上は撤退するとは考えにくいわけです。

他の国内メーカーの撤退がシャープの追い風に?

他の国内メーカーがスマホ事業から撤退していることも、
シャープがスマホから撤退する可能性が低いと考えられる要因の1つです。

日本では「Made in Japan」を絶対的に信用する考え方が根強く、
スマホなどの通信機器も国内メーカーのものしか使わないという人が少なからず居ます。

加えて世界的にはスマホシェア率の高いXiaomiやサムスン電子といった
中韓のスマホメーカーを敬遠する人も少なくありません。

次々と国内メーカーが撤退して国内メーカーの選択肢が少なくなることで、
相対的にシャープのスマホへの需要が高まります。

実際2023年5月にバルミューダがスマホ事業から撤退を表明すると、
その4日後には京セラが個人向けスマホ事業から撤退することが明らかになりました。

5月30日には2022年の携帯電話国内シェア3位の富士通からスマホ事業を
引き継いだFCNTが民事再生法適用を申請、事実上経営破綻します。

2023年5月だけで3社がスマホ事業から撤退となり、
今やスマホの国内メーカーの選択肢はシャープとソニーだけです。

ソニーは高機能・高価格のXperiaが主力ですから、比較的価格の安いミドルレンジも
取り扱っているシャープの需要がより高まる可能性が高くなっています。

現状で他の国内メーカーより売り上げが好調、今後需要がさらに高まる可能性が
高いわけですからシャープがスマホ事業から撤退するとは考えにくいのです。

FCNTの需要が全てシャープに流れる可能性

事実上経営破綻したFCNTが持っていた需要が全てシャープに流れ込む可能性が
高くなっています。

FCNTは「arrows」ブランドのスマホに加えて、
ドコモに高齢者向けのらくらくスマホを提供していました。

ガラホなどとも言われる従来の2つ折りで4Gに対応したガラケーも
FCNTは取り扱っています。

arrowsユーザーはもちろん、らくらくスマホや4G対応ガラケーのユーザーは
次回買い替え時に他のメーカーの機種を選ばざるをえません。

ソニーは基本的にスマホのみなので、
必然的にシャープがFCNTユーザーの受け皿となる可能性が高いわけです。

arrowsユーザーはAppleなど海外メーカーに流れる可能性はあるものの、
らくらくスマホやガラケーのユーザーはほぼシャープに流れると考えられます。

国内メーカーの撤退でシャープは単に需要が高まるだけでなく、
らくらくスマホやガラケーについては独占できる可能性もあるのです。

3Gの完全停波もシャープの商機

ソフトバンクは2024年1月末、ドコモは2026年3月末でそれぞれ3Gを停波して
3Gサービスを終了することが決まっています。
(auの3Gサービスは既に終了)

総務省の「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」によると、
2023年3月末時点で3Gの契約数が1300万件以上残っています。
(参照:https://www.soumu.go.jp/main_content/000888349.pdf)

現状残っている3G契約が全てスマホや4G対応ガラケーに切り替わるわけでは
ありません。

しかし大半は切り替わる可能性があり、その受け皿はシャープとなる可能性が高いです。

現状で3G端末を使っている人がいきなりiPhoneやXperiaに乗り換えるとは考えにくく、
らくらくスマホや4G対応ガラケーを選択すると考えられます。

国内メーカーでらくらくスマホや4G対応ガラケーを取り扱っているのは
シャープだけですから、必然的にシャープの需要が高まるのです。

すぐに商機がやってくることが分かっている分野から撤退する企業はありませんから、
シャープもスマホから撤退する可能性は低くなるわけです。

スマホの製造コストが削減できている

シャープのスマホ事業単体で見ると決して好調とは言えませんが、
スマホの製造コストは削減できているので今後利益が増える可能性が出てきています。

2016年液晶パネル事業の失敗で自力再建が絶望的となったシャープは、
台湾の鴻海グループに買収されました。

台湾企業の傘下に入って社長はじめ役員が台湾から送り込まれていますが、
シャープが日本企業であることに変わりはありません。

鴻海はiPhoneのOEM、GoogleのPixelシリーズやブラックベリーなど
海外メーカーのスマホ生産を手掛けています。

親会社である鴻海がスマホ生産を行っているので、
シャープも鴻海ルートでスマホ部品の調達が可能となりました。

シャープのスマホ生産についても以前は中国の工場に外注していましたが、
現在は鴻海の工場で行っています。

要するに部品調達から生産まで自社で賄えるようになったので、
スマホ製造にかかるコストが抑えられるというわけです。

コストが抑えられれば多少安い価格で販売しても利益が出ますから、
利益が出せるスマホ事業から撤退するとは考えにくいのです。

シャープのスマホは評判が良くない?

シャープがスマホ事業から撤退する可能性は低いものの、
日本市場におけるシャープのスマホの評判はあまり良いとは言えません。

シャープのスマホの評判が良くない理由の1つが、
大手キャリアでは選択肢が限られることです。

シャープのスマホにはハイエンドの「Rシリーズ」、
ミドルレンジの「zero」「sense」「wish」といった機種があります。

ドコモではRシリーズとsense、wishを取り扱っていますがzeroは取り扱っていません。

ソフトバンクはRシリーズとzero、senseのみでwishの取り扱いが無し、
auはsenseのみとなっています。

大手キャリア3社では取り扱っているシャープのスマホの機種が限られており、
ユーザーは必ずしも使いたい機種が選べる状態になっていないのです。

これはキャリア側の問題でもありますが、使いたい機種が選べないかもしれないことが
シャープのスマホの評判を下げてしまっています。

特に評価の低い機種がある

シャープのスマホの中に特に評価の低い機種があり、
それがシャープのスマホ全体の評価を下げています。

特に評価の低い機種が「sense5G」です。

製品テストをしたのが疑われるぐらいの酷い有様で、
 ・再起動を繰り返す
 ・Wi-Fiに繋がらない
 ・端末が異常に熱くなる
など考えうる限りの不具合が発売直後から指摘されました。

購入から数週間で買い替えを余儀なくされたユーザーも居て、
一部のネットニュースでも大きく取り上げられたほどです。

ドコモとソフトバンクで取り扱っていたハイエンドモデルである「R6」も
特に評価の低い機種となっています。

ドイツの老舗カメラメーカーである「ライカ社」が監修したカメラセンサーを
搭載しているにも関わらず、カメラ性能が悪いとして評価を落としています。

接写に弱い上にオートフォーカスが遅いので、QRコードの読み込みなどが
スムーズにできないといった不満の声が多く見られました。

元々シャープのスマホはカメラに弱点があるのですが、
カメラに力を入れた機種がこの有様だと大きく評価を落としても仕方ありません。

低価格帯の機種は好評

ミドルレンジでも比較的低価格帯の機種である「wish2」は概ね好評となっています。

20,000円台とミドルレンジとしては低価格ながら、
通常は上位モデルに使われる性能のCPUがwish2には搭載されているのです。

低価格なミドルレンジスマホにしては動作がスムーズで、
5Gにも対応していることもあって非常に高い評価を得ました。

ただ後継モデルであるwish3はCPU性能がwish2にやや劣っており、
最新モデルよりも旧モデルの方が評価が高くなってしまっているのが残念です。

ディスプレイとバッテリーは好評

評価の低い機種もありますが、
シャープのスマホは共通してディスプレイとバッテリーの性能を高く評価されています。

ディスプレイは高画質・高精彩で画像を大きくしてもぼやけることが無く、
小さくしても潰れることがありません。

高画質・高精彩と省エネという相反する2つの条件を
高レベルで組み合わせることに成功しています。

ディスプレイが高レベルで電力消費を抑えられるため、
シャープのスマホはバッテリーが他メーカーより長持ちします。

過充電を防ぐインテリジェントチャージ機能が高性能で、
繰り返し充電してもバッテリー容量が大幅に減ることがありません。
(すぐに充電が無くなることがない)

特に評価の低い機種もありますが、シャープのスマホ全体としては価格の割に
高い機能性を備えていてコスパが高いという評価です。

     
   

まとめ

次々と国内メーカーがスマホ事業から撤退していますが、
現状ではシャープがスマホ事業から撤退する可能性は低いです。

むしろ国内メーカーの選択肢が減ったことでシャープのスマホへの需要が
高まることも十分に考えられます。

これからスマホを新規購入する、買い替えるといった場合、
シャープを選択肢に入れても心配ありません。

   
   

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