「パソコンは国内メーカーの純国産のものを使いたい」と考えている人も
多いかもしれません。
では国内メーカーがパソコン事業から次々に撤退している中で、
純国産パソコンメーカーは存在しているのでしょうか?
本当の意味での純国産パソコンメーカーは存在しない
本当の意味での純国産パソコンメーカーは残念ながら現在は存在していません。
国内メーカーのパソコン事業からの撤退が続いているものの、
パソコンを作っている国内メーカーは少なくないです。
ただパソコン自体の製造は中国など海外の工場で行っているケースが多く、
国内メーカーのパソコンでも「Made in Japan」のものは多くありません。
日本国内の工場でパソコンを生産しているメーカーも、
パソコンを構成する部品は海外から調達しています。
研究・開発から部品調達、製造、最終チェックまで純国産で行っている国内メーカーは
1つとして存在していないのが現状です。
パソコンを国内生産しているメーカー
純国産パソコンメーカーとは言えませんが、
パソコンを日本国内の工場で生産しているメーカーは少なからずあります。
大手メーカーだと「Panasonic」がパソコンを国内生産しており、
兵庫県神戸市にある自社工場で全量生産しています。
(参照:https://connect.panasonic.com/jp-ja/products-services/letsnote/contents/kobe/factory)
部品には海外製のものが含まれますが、基板から国内で作っているので
現状では純国産パソコンメーカーに一番近いと言えるのです。
ただしPanasonicは現在デスクトップパソコンを作っておらず、
モバイルタイプの「レッツノート」のみの製造となっています。
レッツノートはビジネスパソコンで、
価格が高いこともあって趣味で使うのにはあまり適していません。
マウスコンピューター
知名度的にはPanasonicに劣りますが、TVCMなどで見かけることも多くなった
「マウスコンピューター」も国内生産です。
(参照:https://www.mouse-jp.co.jp/store/beginner/beginner.aspx)
タブレットは一部海外で作っているものの、
ノートパソコンもデスクトップパソコンも長野県飯山市にある自社工場で作っています。
ただPanasonicのように基板からは作っておらず、
海外などから部品を調達して国内で組み立てています。
液晶モニターのブランドとして知られる「iiyama」を傘下に収めており、
液晶モニターの性能の高さは評判です。
BTOパソコンにも関わらず、
比較的リーズナブルで注文してから手元に届くまでの期間が短いのも大きな特徴です。
ドスパラ
パソコンショップとして知られる「ドスパラ」は、
パソコンを国内で生産するメーカーでもあります。
(参照:https://www.dospara.co.jp/5info/cts_domestic.html)
元々は店舗でパソコンを作っていましたが、
現在は神奈川県綾瀬市にある自社工場でパソコンを作っています。
ゲーミングPCに強く、YouTubeなどでのゲーム配信はもちろんeスポーツの
国内大会でもドスパラのゲーミングPCが使われていることが多くなっています。
自分たちが「優れている」と感じたパーツは積極的に取り入れており、
他のBTOメーカーであまり取り扱っていないパーツもドスパラでは選べます。
ただしタブレットは海外生産で、
パソコンもごく一部ですが海外生産となっているので注意してください。
パソコン工房
こちらもパソコンショップとしてのイメージが強いですが、
「パソコン工房」も国内でパソコンを生産するメーカーです。
(参照:https://www.pc-koubou.jp/unitcom_business/business_quality.php)
長野県川中島町と島根県出雲市にある自社工場で、
海外などから部品を調達してパソコンを作っています。
マウスコンピューターと同じグループ会社で、マウスコンピューターと一部の部品を
共有することで生産コストを抑えて低価格での販売に繋げています。
マウスコンピューターと同様にiiyamaブランドの液晶モニターを採用しており、
液晶モニターの性能は高いと評判です。
パソコン工房は全国に店舗展開しており、ネット通販だけでなく
店舗でのパソコン購入やサポートが受けられる点も大きな特徴です。
ただ在庫をあまり持たないため売り切れになっているモデルも多く、
サポートは充実しているものの対応に少し時間がかかるといったことがあります。
ツクモ
ヤマダデンキとともにヤマダホールディングスの傘下となっている「ツクモ」も
パソコンを国内生産しているメーカーです。
ごく一部のモデルは海外製となっていますが、
ほとんどのモデルを栃木県にある工場で作っています。
(参照:https://www.tsukumo.co.jp/bto/pc/info/kodawari/)
1980年代に女性スタッフのみの店舗を作るなど、
チャレンジ精神に溢れたパソコンメーカーとなっています。
性能の割に価格が安く、ツクモのパソコンはコストパフォーマンスが高いと評判です。
ツクモはパソコンメーカーとしての知名度は低いですが、
ヤマダホールディングス傘下という絶大な安心感があります。
ただ自社ブランドのノートパソコンは種類が少なく、BTOメーカーでありながら
カスタマイズのバリエーションが少ない点が少しマイナスです。
FRONTIER
先のツクモと同じヤマダホールディングス傘下のパソコンメーカー「FRONTIER」も
国内でパソコンを生産しています。
日本におけるBTOパソコンの先駆者的存在でもあり、
山口県柳井市にある工場でパソコンを作っています。
(参照:https://www.frontier-direct.jp/direct/guide/beginner_page01.aspx)
FRONTIERは国産の電源ユニットを使っており、高品質で長寿命と評判です。
電源ユニットはパソコンの性能に直接影響しないため軽視されがちで、
特にBTOパソコンでは海外製の電源ユニットが使われることが多くなっています。
しかし電源ユニットは
パソコンを構成する各パーツに電力を供給する役割を持っています。
電源ユニットの性能が低いと各パーツへの電力供給が不安定になり、
本来の性能を発揮できずパソコンの動作が不安定になるのです。
また公式オンラインショップでは頻繁にセールが行われており、
パソコンが安く買える可能性が高いことも大きな特徴となっています。
ただBTOパソコンでありながらある程度パッケージ化されてしまっているので、
カスタマイズのバリエーションがかなり限られています。
注文してから手元にパソコンが届くまでに少なくとも1週間以上かかることも、
マイナス評価としている人が多いです。
エプソン
プリンターのイメージが強い「エプソン」ですが、
自社ブランドの国内生産のパソコンも取り扱っているのです。
ノートパソコンは群馬県高崎市にある「アイテク」という会社に外注しており、
長野県喬木村にある工場で作っています。
(参照:https://www.itek.co.jp/)
デスクトップパソコンは、
子会社であるエプソンダイレクトが長野県安曇野市にある自社工場で生産しています。
エプソンのパソコンはメモリなどのパーツが簡単に追加・交換できるようになっており、
購入後に自分でパソコンをカスタイマイズしたい人には好評です。
サポートが手厚い点も高い評価を受けていますが、
パソコンの性能については特にこれといった特徴はありません。
BTOパソコンにしては価格が高いことや最新パーツの導入に時間がかかることが
マイナス評価となっています。
NEC・富士通・東芝・ソニーは純国産パソコンメーカーじゃないの?
「純国産パソコンメーカー」と言えば
・NEC
・富士通
・東芝
・ソニー
といった日本を代表する大手電機メーカーを思い浮かべる人も居るかもしれません。
家電については上記4社は国産メーカーですが、
パソコンに関しては純粋な国産メーカーとは言えないのです。
まずNECですが、法人向けの一部モデルは山形県米沢市で作っているものの、
個人向けモデルはほとんどが中国製です。
富士通はノートパソコンやタブレットは主に島根県出雲市にある工場で基板から
作っていますが、比較的価格の安いエントリーモデルなどは海外製となっています。
NECと富士通に関してはパソコンをどこで作っているかではなく、
ともにパソコン部門が中国メーカーの「Lenovo」傘下となっている点が問題です。
それぞれの本体はLenovo傘下ではありませんが、NECブランド・富士通ブランドの
パソコンは実質的には中国メーカーの製品となってしまっています。
東芝とソニーに関しては2023年10月現在パソコン事業から撤退しており、
東芝ブランド・ソニーブランドのパソコンは作られていません。
東芝とソニーのパソコン部門は独立して
それぞれ「Dynabook株式会社」、「VAIO株式会社」となっています。
東芝時代のダイナブックは東京都青梅市にある工場で作られていましたが、
現在は中国を始めとした東アジア・東南アジアに生産拠点を移しました。
VAIOはソニーから引き継いだ長野県安曇野市にある工場と中国にある工場で
作られています。
検品こそ全量日本国内で行っていますが生産自体は中国でも行っており、
「Made in China」のVAIOを使うことになる可能性も低くありません。
今やPanasonicを除く国内大手電機メーカーのほとんどがパソコン事業から
撤退してしまっているのです。
日本でパソコンを作っている海外メーカー
純国産パソコンメーカーではありませんが、
日本でパソコンを作っている海外メーカーもあります。
例えばNECや富士通のパソコン部門を傘下に収める「Lenovo」は、
一部モデルを山形県米沢市で作っています。
IBM社が開発したノートパソコンThinkPadの一部モデルがNECの米沢工場で
作られており、中国メーカーで「Made in Japan」パソコンが購入可能です。
世界トップクラスのパソコンメーカーであるアメリカの「HP」も一部モデルを日本で
作っています。
EliteシリーズやProシリーズの法人向けモデルが、
かつては東京都のあきる野市や昭島市、現在は日野市の工場で作られています。
まとめ
研究・開発から部品調達、製造、最終チェックまで日本国内で行っている
純国産パソコンメーカーは現在1つもありません。
パソコンは部品を国内で全て調達することが難しく、
国内生産のメーカーでも部品は海外製を使っています。
純国産にこだわると選択肢がほとんどありませんから、
パソコンを購入する際は純国産にはあまりこだわらない方が良いでしょう。